よどみの置き場

怪談……とは限らないこわい話の置き場です。

【こわい話】M公園の肝試し

この話も前回同様、高校時代の部活OGである「ケーコさん」から聞いた話である。
ただしこちらの話に関しては、私の記憶があやふやなため、実際の話とは違っている可能性が高い。どうかご容赦願います。

 

 

さて、本題へ。

合唱部は毎年8月頭に、M公園内にある「会館」で2泊3日の合宿を行っていた。
私たちの頃は、昼間は学生OBを交えての練習、夜は学生OBとのお付き合いくらいだった。
ケーコさんが現役学生だった頃はそれに加えて、1日目の夜に、1年生が2~3人のグループを組んで肝試しを行うのが恒例だったという。

ケーコさんも1年生時の合宿でやはり肝試しに出発することになった。
一緒に行く相手は前回の話で、「とてもよく見える人」と書かれてしまった篠崎さん。
。なお、篠崎さんが見えてしまった話は下の記事を参照していただきたい。

 

kogetya.hatenablog.com

 


時系列ではこちらのほうが先であるが、ケーコさんは篠崎さんが"とてもよく見えること"をこの時点で知っており、嫌な予感がしたという。

懐中電灯を持ち、「会館」を出て左に曲がり道なりに進む。
進んでいくと人工池があるのでそれを一周する・・・・のだが、さっそく篠崎さんは見つけてしまった。
「ケーコ、池の上に人が立っているよ・・・・」
篠崎さんは人工池の中央を指さす。ケーコさんは懐中電灯で池を照らすが、ケーコさんは見えない人なので意味のないことだったりする。
なお、M公園自体が某市随一の心霊スポットであるので、わざわざ先輩方は仕込みをしないのがお約束となっている。

この手の話を聞いていると"見える人が見えてしまった"場合その後の行動はほぼ2パターンだ。
・平然と「見えている」といってテンションが変わらないタイプ
・「見えている」と認識したとたんパニックになるタイプ
篠崎さんは後者のタイプだった。ケーコさんに「ちゃんと見てよ!!」と同意を求めるのだが、あいにくケーコさんは"見えない人"。
立ち止まろうとする篠崎さんをなだめつつ、何とか児童会館に戻ってきたそうだ。

その後ケーコさんは先輩から、あの人工池でおぼれて亡くなった人がいたと聞いたという。
ケーコさんは私ともう1人の部員にこの2つの話をした後、「篠崎さんはどこへ行っても見えたからねえ」と語った。
こちらも当時はさほど怪談を好まなかったし、練習の合間に語ってもらったので、それ以外の話を聞くことはなかった。
ケーコさんの声のトーンだとまだまだ体験していそうに思うのだが……
いや、思い出させない方がいいように思える。なんとなく、だけど。