よどみの置き場

怪談……とは限らないこわい話の置き場です。

【人間の…】ソレが来た

ソレが母のものにやって来たのは、小学校6年生の時だった
普段の母だったらソレはやって来た時点で即ゴミ箱行きだったろう。
ただその時ばかりは事情が違っていた。

急性虫垂炎の手術直後に「不幸の手紙」が届いてしまったのである。
この手の手紙ではお約束通り差出人名はなく、そのような手紙が届く心当たりもなかった。
自他ともに認める気の小さいわが母・・・・いや、普段は気が大きい人でも、手術の直後にソレが届いたら内心穏やかではないだろう……
結局母は1人の友人に頼んだという。事情が事情だけにソレを回すことを許してほしいと。
幸い了承を得られたという

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その話を聞いたのは私が小学校6年生の時だった。
その頃私の周囲では、ソレがちょくちょく周っていて、その話をした時だったように思う。
不幸の手紙を書くことによって得るものは、どのような事情があったにせよ『後悔』以外ない。