よどみの置き場

怪談……とは限らないこわい話の置き場です。

【こわい話?】置きみやげ

これは母から聞いた話である
ある地方の中学校でそれは起こった

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職員が出勤すると廊下に足跡があった。
泥棒だ。
すぐに警察がやって来た。
時は昭和40年代。学校に泥棒が入ったとなれば、まず真っ先に確認するのは職員室である。職員室のロッカーや机の引き出しをあさり、金目になりそうなものを盗み出す。当時はそのような手口だったのだ。
案の定、足跡は職員室に達していた。

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教頭用の机に何かが置かれている。
警官が慎重に歩を進め、「それ」を確認する。

それはよもやの「ウィスキー」
しかも未開封である
当時ウィスキーは、国産の大衆品であっても、それなりの値段とステータスがあった。
犯人としては”仕事”を決めたら一杯やるつもりだったのだろうか?

職員室内を確認したところ、盗まれているものは何もなかった。
当該中学校は当時、地域一不良生徒の多い中学校として有名だったので、金品があればとっくの昔に無くなっていた気もするが……

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一応窃盗に入られたのは事実なので、朝のホームルームで報告がなされた。
ウィスキーの件ももちろん含めて。
生徒は一同大爆笑。
母の担任は生徒のその姿を見てこうぼやいたという

「学校だってわかっていて、なんで盗みに入るんだが分からないんだなあ」

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内容自体はどこかコミカルな話なのだけれども、
窃盗目的で不法侵入することそのものが、"こわい話"だよね。ということで。