よどみの置き場

怪談……とは限らないこわい話の置き場です。

【こわい話】墓を建立したときの話

私が5歳の時父方祖父が公営墓地に墓を建立した。その時の話である


*

建立式、とでもいうのだろうか。そういうことを執り行った。
墓を建てた場合、いきなり納骨するのではないのだ。
うちは仏式のため、信仰している宗派の僧侶の方を呼び、読経を行ってもらった。*1
そのあと、竿石*2にかかっているビニールカバーを外す。
そして工事を行ったX石材店の営業の方からお墓の説明を受け、すでにこちらにあった2柱の納骨を行った。

*

式は無事に終了した。
僧侶の方は先にお戻りとなり、X石材店の営業の方と我々一家一同、ーー施主である祖父母、私の両親、そして私ーーが残った。
X石材店の営業の方より追加の説明を受けたあと、それは起こった。

なんとX石材店の営業の方、お隣の墓に足をかけたのだ。
体がよろけたとかということでもなしに。

眉をひそめる祖父母と両親。子供心にも違和感を感じた私。
その時それは起こった。

どこからともなく蜂がやってきた。蜂はX石材店の営業さんのくるぶし付近を刺して別の方向へ去っていった。「痛い」とうめき声をあげ、足を押さえる営業さん。

このときほど『因果応報』という言葉を、この場にいた全員が痛感したことはなかったのではないだろうか?

*

墓を建立してからいろいろあった。祖父が建てたこの墓はいずれ閉じることとなっている。
それでもお盆と秋のお彼岸には必ず参っている。事情があれば春のお彼岸にも。
その際、「お隣さんやお向かいさんには決して足をかけないように」と声をかけて掃除をするのが常となっている。

*1:キリスト教徒の人や神道系の人はおそらく似たようなことをするのだろう。では、完全な無宗教の人は???

*2:○○家之墓、とかを記入している石