よどみの置き場

怪談……とは限らないこわい話の置き場です。

【こわい話】死神 その2

私の父親の系統は発熱をすると幻覚を見る者が多いらしい
父は子供のころに死神を見たという。ある時を境に見なくなったと主張している
幸いにも私も妹もその体質は受け継いでおらず、姪も2022年時点では発熱時に何かを見たと訴えてはいないようだ
この話は父が死神を見て、そして見なくなった話である


私の父は扁桃腺炎を起こしやすく気管にも炎症が出やすい体質である
その為ひとたび くしゃん となると熱を出し、時には病院へ入院になることもあったという
そうなると決まって死神を見たという
「俺の目の前に出てきて、黒いフードをかぶって鎌首をもたげているんだ」
子どもの頃から聞かされていても、それを見ることのない私や妹は「へー」というしかない
「ま、殴れば消えるんだけどな」
そんなものらしい

もっとも父もこれが熱による幻覚であると認識している
中学校に上がると熱があるな。と感じると、視界がゆがみ色彩がやたらとチカチカと強いコントラストになるという
サイケデリックとはああいうことを言うんだな」と本人は語る
とりあえず私は「ウルトラQ」のオープニングの光景になると思い込んでいる
ちなみに従妹の一人(父の兄の子)は発熱したとき「般若の面が2つ見えた」らしい。具体的な幻覚も考えものである

そんな父も、ある一定の年齢から見なくなったという
「高校生の時、バイトで林道の工事やっていた時に、トラックの運転手の人に『乗って行け』と言ったとき乗らなかったんだ。そのトラックは事故を起こして、その人も死んでしまった」
それって……
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「あの時から死神は兄貴の方へ行ったんだ」

なお、"兄貴"こと父の兄は22年前に病気で他界している