よどみの置き場

怪談……とは限らないこわい話の置き場です。

【こわい話】奥多摩のログハウスにて

当方が大学生の時の話である。

 

所属していた学科で、奥多摩にキャンプに行くという話になった。
夏休みに期間であったため、バイトや帰省で参加できない人が多数であったものの
最終的に70人中15名ほどが集まったのだから、出席率はかなりのものである

奥多摩駅までは列車で、そこからはレンタカーで移動。目的のログハウスに着いた。
2階建てのそのログハウスは、15名が無理なく泊まれる広さがあり、設備も清潔感も申し分なかった。
BBQ(というより焼肉がメイン)、一杯やって*1他愛のないおしゃべりをしたりしていた。

まず着いた時、当方は荷物を2階に置いていた。
ちょっと荷物の中に出したいものがあったので2階に行った。

物はすぐに見つかったが、なんとなく2階に少し居たかったのだ。
1人きりで2階にいたその時に、その「なんだか納得出来ない」事が起こったのである。

まず、目の前の窓から点滅する光が見えるのである。
明度の高い懐中電灯を、窓に向けて左右に振っているような光だが、何故かそれが付いたり消えたりしているのである。
明るいうちにその窓の外を見ていたが、広がっているのは急斜面に広がる林しかなかった。
林のメンテナンスや山で仕事をしようにも、日が落ちてかなり経つので作業はしないだろう。だいいちこの日は土曜日である。
また外で肝試しをするにしても登り降りする階段もない。それに肝試しをするという話は誰もしていない。
そもそも自分たちの他もう1組いるらしいが、そちらさんを見かけているという話はない。

これだけでも首を傾げる話ではあるものの、確証はあるとは言いがたいだろう。
ただ、なんだか話し声が聞こえて来るのである。
しかも、下から聞こえるというよりはむしろ
2階全体がラジオか何かの受信機となり共鳴している。と考えるのが自然な響き方だ。
ちょっとまて、ここは  ロ グ ハ ウ ス  だ
当方は確信をもって1階に降り、その場にいた同級生に尋ねた。
「ねえ、テレビとかはつけていないよね」

このあと当然のようにテレビはおろか大声で話したことは力いっぱい否定され、
強制的に1階で寝せられたのは言うまでもない。


この話、ここしばらくは思い出すことすらなくなっていた。
ふと思い出したのは、一昨年、とある投稿動画を放送する番組を目にした時である。
「幽霊が出たバンガロー」という触れ込みで、
バンガロー内の風景を写していたらなんか写っていたというありがちな動画であった。
動画に出ていたバンガロー、大学時代に泊まったバンガローと間取りが酷似してしたのだ。
もちろん、建物が建物だけに間取りが似たように見えるというのが真相であろう。
・・・・・・しかし、久々に「ざわっ」と背筋が寒くなったのは事実である。

*1:※参加メンバーは成人していた。念のため。